2011年7月28日木曜日

Maxwell-Boltzman Molecular Speed ---マクスウェル分布について

ワイブル分布を見ているうちに、自然風の分布は本当にそれでいいのか?と気になってきた。何しろ、鎖が壊れるかどうかということで、たまたまマッチする分布と風があうというのが気に入らない。
そのうちに、気体分子運動論でやったマクスウェル分布が気になってきたので、ちょっと息抜きに考えてみる
熱力学では通常、系として宇宙を切り取り、その系について、熱の出入りや、運動エネルギー、系が持っているそれ以外のエネルギーを考えることが多い。
一方で、気体分子運動論では、系という容器の中に気体の分子というツブツブが入っており、この粒の運動エネルギーと位置エネルギーが「内部エネルギー」であると考える。
このとき、系の壁にツブツブがぶつかることで、圧力が生まれていると考える。
 この分子集団が理想気体だとすると、全運動エネルギーを求めることで、内部エネルギーが求められる。そうでなくとも、全運動エネルギーを求めた上に分子間力を計算すればよい。そのためには、とにかく分子の速度を知ることが先決だ。
 しかし、分子は好き勝手に衝突を繰り返し、その度に速度は変化するので調べようがないように思われる。
 ここで、マクスウェルは、2分子が衝突した結果、完全に静止する確率はたいへんに小さいと考えた。十分な数の分子が存在する系の中では、一部だけが激しく動き続けて、あとが全部静止していたり、急に動いて、急に止まったり、ということはなさそうだ。
 しかし、全部が等速で動いているのも気持ち悪い。何か分布があるはずだ。と。


                              書きかけ つづく

2011年7月27日水曜日

某所向け没原稿 - 未完成版

再生可能エネルギーを活用する風力発電は地球温暖化抑制策の一つとして近年急速に設置が拡大しており、大型化も進んでいる。本稿では、風力発電の技術的課題、ならびに将来の展望について述べる。
1. 各種タービンの比較 :風車=地球タービン?
タービンは、流体の運動エネルギーを、翼車の機械的エネルギーへ変換する流体機械(原動機)である。
タービンは、作動流体の種類によって、主に火力発電や原子力発電に用いられる、蒸気を作動流体とする蒸気タービン。燃焼ガスを作動流体とする火力発電に用いられるガスタービン。ダムの水の落差を用いる水力タービン。そして本稿で取り上げる風力タービンに分かれる。
とくに蒸気タービン、ガスタービンを扱っている技術者からは、風車や水車のどこが、タービンなのだとお叱りを受けそうであるので、ここでその相違点と共通点を簡単に挙げておく。
蒸気タービン、ガスタービンは、化石燃料や核燃料を熱源として、人工的に作動流体に与えるエネルギーを制御しながら利用している。これらの化石燃料や核燃料は核燃料であれば、地球創生時に宇宙から集まってきたものであったり、化石燃料であれば、太陽からの電磁波を光合成と食物連鎖によって変換して蓄えたものである。
一方で、風力タービンや水力タービンについては、水力タービンの場合、地球表面上に存在している水を蒸発、凝結(凝縮)させる過程でポテンシャルエネルギーを与え、動力に変換する。また、風力タービンの場合、地球表層が受けた太陽からの電磁波が作り出す、対流圏の温度差によって生じた気圧の差によって生じた風を動力に変換している。
すなわち、
1.今ある系が受けたエネルギーを、どのタイミングで用いるのか。 →エネルギー再生時間
2.入力を制御できるか否か。
3.タービンが作動するための系のサイズ。
4.通常ガスタービンや蒸気タービンが機械の中に収めてしまうシステムを地球上に分散させて持っている。
の三(4?)つが蒸気タービン・ガスタービンと、水力タービン・風力タービンの違いである。
 これらをまとめると下記のようになる。


蒸気・ガス
水・風
燃料の獲得・使用タイミング(エネルギー再生期間)
数万~数十万年単位
(バイオマス経由は、数年)

ほぼ即時
入力制御可能?
可能
不可能
系のサイズ
小(建屋に収まる)
大(地球全体)


表1 一般的に言う「タービン」との比較
すなわち大型化していくと風力タービンは、地球(宇宙?)タービンといえる。
 これら4種のタービンの出力は以下の式で表される。

ここで、m(kg/s)は流量、E(J/kg)は動力に変換可能なエネルギー、ηは変換効率をあらわす。
ここで、読者の直感的理解のために、先ほどあげた4種のタービンについて各パラメータの大小関係を相対的に比較すると表1のようになる。


E
η
ガス
蒸気
水力
風力


       表1 各タービンの係数比較
この表から、今後の技術開発の方向を考えると、ガスタービン、蒸気タービンは、作動流体を高温高圧化するとm、E、ηいずれも上昇するので、大型化によらなくても出力の増大ができる特徴がある。
風力タービンについては、変換効率ηやEを大きくすることができにくいので、動力を大きくするには流量を増大させるしかない。すなわち受風面積を大きくして(大型化する)いくことが必要になっていることがわかる。
2.風車の歴史と技術的要求 そして大型風車へ

2.1 小型風車
図1は筆者がアメリカテキサス州の牧場で見かけた牛の水場のための風車である。農業、牧畜のためにスタンドアロンの動力設備としてこのような風車は未だ現役である。
最初に見たときから、なぜこのような紀元前から中東に存在するような歴史の遺物が実用されているのか、ここの牧場主は骨董趣味なのか?などと考えてしまった。
しかし、最寄のガソリンスタンドが100マイル(160キロ)も離れているような場所では、対抗する手段としての、レシプロエンジンに燃料を供給することは容易ではない。また、塩分を多く含む湿原に放置したレシプロエンジンは頻繁なメンテナンスが必要になろう。
そういう意味では、機械的に単純であり、動作に燃料を必要としない小型風車は、(おそらく)牧場主のウェスタン趣味ではなく、実用的に便利なのである。


図1 ウェスタン趣味?否、実用です

ここで、小型風車の実用要件を考えてみよう。
1.発生した動力をその場で使うこと(エネルギーの地産地消)
2.燃料の入手困難性
3.保守点検や修理が可能な人間がいる。
4.故障しても困らない。
1.2.4.については、上記の牧場での使用例が参考になろう。
3.の保守点検や修理であるが、たとえば、オランダには、旧型の揚水風車に関して「風車守ギルド」というものがある。ギルドは各風車にmolenaar(モーレナー)と呼ばれる風車守を住まわせ、保守管理、運転を任せている。
古代の風車には、保守管理・運転を行なう者が必要不可欠であった。
風車も機械である以上は壊れていく運命にある。
寿命が長い機械で考えてみると、現在地球上には7億台もの自動車が走行しているが、日本の場合は、2年に一度の車検を通さなくてはならない。米国でも、1年に1度は車検を通さなくてはならない。その制度がない。あるいは無視されている国においては、動かなくなるなど「当たり前のこと」として認識されている。
また、永久駆動を謳うスイスの有名メーカーの機械式時計でも、3年に一度程度のオーバーホールをして部品交換、オイル交換などをしなくてはならない。
機械としての風車には、オーバーホールを含む修理、保守管理が不可欠だ。
   図2 長崎県ハウステンボス市のオランダ式風車


2.2 大型風車
 大型発電用風車に求められている要件は自ずから小型風車とは異なってくる。
大型風車(風力タービン)の目的は、風を利用して発電することにより、化石燃料の消費を抑えることである。
 その風車の開発要素技術には下記があげられる。
1. 翼
2. 発電機
3. 制御装置
4. 油圧設備
5. ギアボックス
6. タワー
これらの要素について、性能面、耐久性面の2面について要求が行なわれている。
小型の場合は、ほぼ総てが過去に完成している技術であるが、大型については、常に開発途上にあり、2.1の最後で述べたような過酷な条件を乗り越えるために日々技術開発が進められている。
今後、増えてくる大量の大型風車群(発電用ウィンドファーム)を運営していくためには、
1) メンテナンスのためにモーレナー(風車保守点検技術者)育成制度の充実
2) 制御技術(遠隔操作)
3) 要素設計の更なる高度化
4) 流体機械ではあるが他の技術のほうが大切
の4つがポイントになろう。

1についてはオランダ型風車に関して、小型風車の項目で述べた。同様の発電用風車ギルドを立ち上げ、その運営をすることを検討するべきだろう。運営方法としては、保守管理技術者認定制度のようなものをつくり、認定した技術者に保守・管理・運営を任せていくことなどを考える必要があろう。
2については、洋上化や大型ウィンドファーム化が進む中で、可能な限り、モーレナーが風車に上らなくて良いように遠隔操作ができなくては話にならない。
3については、熱帯低気圧、冬季雷などの各地域に独特の気象に対して十分な強度を持つように対策を行なう必要がある。また、更なる高効率化、静音化などの対策も日々行なわれている。
4については、風車は時間空間的に大きく変化する風を相手にする流体機械であるので、蒸気・ガスタービンよりも翼の形状を設計は困難である。つまり、風により最適の翼が変化するので、翼の設計は性能にほとんど関係しない。これは「羽根の設計=風車設計」と考える風車の初心技術者の陥りやすい錯覚である。
風車で問題になる要素の多くは、他のタービンで言う補機である。否、補機の設計計画が総てと言っても過言ではない。補機の設計をおろそかにしては、高性能大型風車とはなり得ない。


 図3 米国某所ウィンドファーム

3.風力発電システムの利用状況
次に、風力発電システムの利用状況をみてみよう。国内某メーカーの風車の設置台数は図5のように急激に増加している。

図5 国内某メーカの納入実績
 また、世界市場では、風力発電設備の導入量は図6のように増加し続けている。

図6 世界における利用状況
(NEDO技術解説より引用)
これらの状況から、風力発電の導入量は今後も継続的に増加していくことが予想される。


しかしながら、下図のように、日本単独では、近年の風力発電の導入量は鈍化している。日本の目標導入量は、2010年までに3000MW(300万kW)である。

図7 日本国内 風力発電装置設置容量の変遷
(NEDO技術解説より引用)
この原因は発電コストであるといわれるが、実際には図8のように発電コストは9~12円/kWhと従来の発電方式と大差はなく、また売電単価23.3円/kWhよりも低価格であるのが現状である。
次章では、このような事態が発生している原因に迫りながら、風力タービンの将来を展望してみる。
図8 各発電形式による価格の比較と家庭用電灯単価
    (資源エネルギー庁 日本のエネルギー2006より)


4. 将来の展望と課題
現在の風力タービンを取り巻く課題は、技術的な問題と社会・政治的問題が混在している。
風車自体は紀元前から人類が用いている技術であり、小型風車独特の技術的課題のほとんどは解決されている。
現在の技術的課題は大型化によって巻き起こされているものであり、現存の技術の限界に迫っているものばかりである。
 たとえば、大型化によっておきる問題として、強風、落雷があげられる。これらは、新材料の開発、レセプターの設置などによって防護されることで解決される。ここで、新材料とは、通電性が無いこと、十分な強度を持つこと、など多くの厳しい条件を突きつけられる。
 また、大型化が進むに伴い、洋上化が行なわれる。欧州のように遠浅の海では、ジャケット式に基礎を設けて、地上と同様に風車を設置することが可能だが、日本近海のように遠浅でない場合は、海底に基礎を設けることは難しい。そこで浮体式が用いられることが想定される。浮体は海流や波浪の複雑な影響を受けるため強度の十分な検討が必要になっていく。また、通常船舶の塗装寿命は10~15年であるが、船舶のようにドッグに入れるわけには行かない浮体の場合どう対応するのかも問題になる。
さらに、風力発電の出力が安定していないことも、発電用風車が小型だった時代からすれば、問題になっている。電力系統の安定性を脅かす要素として風力発電の導入に積極的でない電力会社が日本に多いことは事実である。
この問題の解決のためには、水力タービンの技術が参考になるだろう。
水に与えられた位置エネルギーを力学エネルギーに変換、利用して発電を行なう水力タービンでは、通常ダムを設けており、ダムの水門開閉により、発電量を調整しているが、それでもなお余剰電力が発生すると揚水ポンプを用いて、ダム内に水を戻すことで、電力エネルギーを再度位置エネルギーに変換して出力変動を制御する一助としている。
風力発電においても、何らかの貯風技術が求められる。
たとえば、発電した電力を用いて水素を発生させる(化学的エネルギーへの変換)、NAS蓄電池などを用いて系統への出力を一定にする方法(電気的エネルギーへの変換)、水のくみ上げに用いる方法(力学的エネルギーへの変換)などが知られている。
 最後に社会的な問題になるが、“新しいもの・見慣れないもの“すなわち”他者“をいかに受け入れていくか?ということが問題になってくる。
たとえば、鳥が風車に衝突して死ぬという反対運動がある。
確かに、イメージだけで考えれば、巨大な翼が回っている風車に衝突したならば、木っ端微塵になりそうな気がする。一時期、某大手新聞もその論調であった。(2005年12月前後)。しかし新聞社も、その後事実との相違に気づいたようで、2008年12月には論調を変えた。
どちらが正しいのか、実際の統計をみてみる。
Manvilleらによると、1年間に人工的建造物に鳥が衝突死する数は、建物の窓など 9億8千万、送電線 1億7500万、送電塔1億1600万、通信用の塔 4000万~5000万、風車4万と既存の設備に比べて、圧倒的に少ない。
しかしながら、筆者は、すでに作った送電線の撤去や、既存の建物の撤去を要求しているのを見たことがない。明らかに見たことのないものに対する思い込みから、反対運動がなされているに過ぎないのだ。
 
古来より、日本は、諸外国の文化をそのまま受け入れるのではなく、新たな文化と真摯に向き合うことで、その真意を汲み、己に合うように変換して受け入れてきた。
中東に生まれた風車は、欧州に運ばれ変換された。日本の風力発電関係者は、次は日本に変換すべく、努めている。
返還された風力タービンが日本に完全に根を張る日は、そう遠くないだろう。
※ 1 「風車」安藤幸二郎 工政会出版部 昭和2年
※ 2 アラスカ州自然保護局「Lemming Suicide Myth Disney Film Faked Bogus Behavior」 Riley Woodford
※3 NEDO よくわかる!技術解説
http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/egy/ey04/index.html#04
※4 資源エネルギー庁 日本のエネルギー2006
※5 “Avian Migration & Human Technologies Birds Must face: Traversing the Gauntlet of Tall Structure” Albert M. Manville 2006

Converteam買収をEUが承認

まとめ
ロイターによると、25日 GEはConverteamの買収を承認された。

GEはエネルギー事業での製品範囲を拡張するために、32億ドルで買収したフランスのコンバチーム社について、月曜日、EUの承認を得た。
コンバチームを買収したGEエナジーは、2010年の収益では、グループ内で最も利益を上げている部門である。
欧州委員会は、ヨーロッパでの自由競争の妨げにならないと声明をだした。
「この取引により、欧州経済地域(EEA)内での競争が激化することにはならない。というのは、この企業は、中程度の市場占有率であり、想定される市場内には、複数の信頼性の高い競合他社があるためである。」とEUの幹部は言う。
コンバチームは、フランスのアルストム社から5年前に分離した会社であり、石油、ガス部門、また、風車などの再生可能エネルギー部門向けの高効率モーターを作成している。
--- 元記事 http://www.reuters.com/article/2011/07/25/us-converteam-ge-idUSTRE76O3P220110725

2011年7月20日水曜日

しゅ

テスト2

Cost of Energy

Cost of Energy(エネルギーのコスト、コストオブエナジー)は
風車プロジェクトの経済的価値を判断する方法のひとつ
参照Wiki  http://en.wikipedia.org/wiki/Cost_of_electricity_by_source
実際には、いろいろな定義がある。
基本的には、
COEは、レベル付けをするために、システムの価値をシステムの寿命で割ったもの。
あるプロジェクトについて、COEを計算することで、プロジェクトのフィージビリティを検討することができる。
また、COEを計算することによって、市場のほかのエネルギー源を用いたときとの比較検討をすることができるようになる。
プロジェクトの競争力を計測するものさしとして利用するものである。
一般的にCOEは次の式で表現される。
COE = (IC * FCR + AOM)/AKWH
なお、各記号の意味は以下のとおり。
COE = Cost of Energy (cent/kWh)
FCR = Fixed Charge-Rate (利益率)
AOM = 年間運転メンテコスト
AKWH = 年間発電量(kWh)
ということに過ぎない。
もちろん、評価方法によっていくらでも変動する値である。

原子力が安いとか太陽光が高いとか、これで決まってたりする。

2011年7月19日火曜日

ガンマ関数について---風車エンジニアにとっての意味

ガンマ関数について
 風力発電の話をすると必ず出てきて、多くの人がつっかえるのがワイブル分布、そしてレイリー分布。このときに平均風速 を出すときにいきなり出てくるガンマ関数だろう。
ワイブル分布という言葉を平気で使う人たちに聞いても、理解できていないのが、そこで使われるガンマ関数かもしれない。
手始めに、このガンマ関数について勉強しよう。
 nの階乗、つまり”n!”というとき、nは、非負整数である。ガンマ関数というのは、ここのnに整数以外を入れたとき、いくつになるか?ということ。(*1)
 ま、レイリー分布をつかうのは、たいがい、平均風速から風速出現率分布を推定するのだから、あまり関係ないといえばないのだが、理解できないものを説明もなく書かれても腹が立つだけ(*2)なので、理解しておいたら何かの役に立つかもしれない。(解析力学とかで、3次元でない球の体積を求めるときとかさ…)
*1 本来は、階乗の複素数への拡張のために、オイラーが定義した。という歴史と、数学的に美しい説明があってしかるべきなのだけれど、美的センスのないエンジニアにとっては、意味さえわかって使えりゃ文句ないわけで…美しい数学の姿にあこがれるようになったら、また理解しなおしてみたいと思う。
*2 NEDOの風力発電ガイドブックには必ず載っていたけれど、意味がわかっているだろうか。わかって書いているなら、他の部分と同じように、平易に書いて欲しいものだ。

ガンマ関数の性質
 まず、ガンマ関数と正の整数nの階乗との関係は、
――――――(1)
x>0のとき
――――――(2)
x=0のとき、
―――――――――(3)
である。
ま、階乗を拡張しただけ。

ガンマ関数の定義
x>0のときガンマ関数は
 



とあらわされる。ここで、





である。
部分積分すれば、 x>1のとき








であると確認できる。

 本当は、 (2) (3) 式の条件を満たす関数は、他にもあるらしい。
でも、正の実軸で、対数凸(対数をとったら、下に凸なってこと)である
有利型関数は、この形しかないと誰かが証明してくれている。らしい。

つづく (*3)

*3  この定義では、実部が負である複素数には対応できない。


スペインでは風力が一位

Asociation Emperial EolicaAEE)によると、本年三月にスペインでは他のエネルギーを措いて風力発電による電力量が一位に達した。
 Red Electrica de Espana によると、4738GWhを発電したという。二位以下は、原子力発電、コンバインドサイクル、水力と続く。風力は3月中の需用電力量の21%を供給した。
AEEの会長であるJose Donoso氏は「この歴史的快挙は風力発電は単に国産のエネルギー源であるというだけではなく、1300万世帯の平均的スペイン家庭に電力を供給することができるということを示すものである。」と述べる。
 2005-2010年の再生可能エネルギー計画により、スペインに昨年導入された風力発電は20676MWに上る。
-----AWEA North American Windpower May 2011 p136

スペインでは、「スーパーグリッド」と称して、近隣諸国と電力網を連結し、さらに国家による発電所制御で、風力発電による電力量を多くする試みがなされている。

2011年7月18日月曜日

ロジカルな思考 と わかりやすさ の違い

日本の会社員にはロジカルな思考が足りない。
こう断言できる。
しかしながら、社内でロジカルと言われる人たちは、
単に「バカにも分かるように」説明できるだけ(※1)
のことだったりする。

巷で人気のI上さん@ニュース解説とか、k間さん@経済評論とか、
わかりやすいけれど、ロジカルではない。

では、ロジカルとかはなにか?
所与の前提(正しいとは限らない)から、方法的に正しい思考の手続きにより、結論を導き出すこと
と言えるのではないだろうか?
そこに対して、「道徳的な正しさ」とか「分かりやすさ」は、副産物として生じることもあり、生じないこともある。そんなものではないだろうか?
前提から結論に至る一連の流れを把握して作り出す能力が「論理的思考力」であって、評価する者にとって分かりやすい(受け入れやすい&甘い)台詞を吐く人間が論理的思考力に長けているのではない。

※1 いや、こういう力も、バカがいる以上は必要ですが…普通は、組織にバカはいらないですよね?

2011年7月17日日曜日

英文を早く読むための個人的な方法 その1 読むのが遅い理由

ここ、基本的に「翻訳の練習」してるわけです。
勉強のために。
で、自分なりに、英文を早く読むコツをまとめておこうと思います。

もともと、エンジニアであった私(いや、今もだよ。)が、畑違いの法律の世界に放り込まれて数週間は、はっきり言って、日本語も英語も分からなくなりました。
あるいは、英語を知らない人は英文を早く読めるようにはなりません。
こういうのは「知識的要因」であり、ここで述べる方法では早く読めるようにはなりません。

ここでは、テクニカルな要素について説明したいと思います。

「なぜ、読むのが遅いか」---
①読み返し
なんか、マジメに読みすぎてません?
特に専門分野の英文は、1文ごとの意味の把握をしようと、一生懸命に読んでいるような印象があります。
実は、これ最悪です。
高校生のころ、意味も分からず、ホワイトヘッドだの何だののいわゆる「哲学書」なるものを読まされました。ええ。英文で、英語のテキストが、それだったのです。あと、シェークスピアだとか…
当時、「マジメ」な学生だった私は、一語ずつ、意味を調べて、一文ずつ訳して…意味がさっぱりわかりませんでした。はい。
何をするべきだったのか、今の私が当時のにあえば言うでしょう。
「わかんなくても、訳せなくてもいいから、とにかく段落一個は読み通せ。
「辞書なんか引かなくていい」
そういうことです。

②音読
中学生の頃、全員で教科書のつまんねぇ英語を音読させられましたね?
「This is a pen.」
だめです。絶対。本当は全ての英語教育上、やめて欲しいですね。

これ、何から来ているかというと、寺子屋の「素読」なんです。(たぶん)
でも、考えてみてください。中学の英語教師は日本人でしたね?
寺子屋のお師匠さんは日本人で、素読の内容は、
中国語を日本語にして読み下すテクニックによって翻訳された日本語」だったんです。
ちなみに、今中国系の友人たちと話すと、江戸時代の庶民の教養「四書五経」程度を読んだことのある人はほとんどいません。
中国語を話さなくとも、(当時の先進国であった)中国語文献を日本語として理解できる能力の開発だったんですね。

日本訛りのおかしな英語の発音を身につけても、英語を日本語として読む能力は身につきません。
閑話休題

英語を読むときに声に出してはダメ。
「文字→音→訳→日本文→理解」 より 
「文字→理解」 か
「文字→日本文→理解」 のほうが圧倒的に早い。

③マジメ
効率が悪いので、何度も読み返さない…
あ、①とほとんど同じだ。
 

2011年7月15日金曜日

ワイブル分布の分布関数と期待値の導出-------風況のために

ワイブル分布
NEDOなどによると、(http://app2.infoc.nedo.go.jp/nedo/Weibull.pdf)「風速の出現率分布はワイブル(Weibill)分布で近似できる」。
なんで?という思いもあるが、それは後のお楽しみに措いておいて(先に知っときたい人は、極値統計学とか勉強するといいと思う。)
ワイブル分布の分布関数を導出することで、風速xが、ある値以下である確率の式を導出してみよう。

分布関数の導出
まず、ワイブル分布は、

(x>0のとき)



ここで、aは尺度パラメータ、bは形状パラメータ(ワイブル係数)である。

分布関数の定義から

――――(1)




と変数変換するので、


積分範囲は0~x → 0~(x/a)b であり、また、



であるので(1)より

分布関数は、










となる。

期待値の導出

ガンマ関数は、

であるので、


















となる。

以上より、ワイブル分布の分布関数と期待値を求めることができ、これらはそれぞれ、x以下の風速の出現確率と、平均風速に相当する。

英文を早く読むための個人的な方法 その2 稽古方法

原因が分かったところで、早く読むには稽古が必要です。
私が、ネイティブ並みの速度(と言ってもイロイロな人がいますが)で読めるためにした方法は次の感じです。

①強制先読み
ペンを用意します。
「一定の速度」で、ペンを動かして、それを追いながら読んでいきます
分からない単語とか、知ったこっちゃないです。
あとで辞書を引くなり…その場限りで辞書を引くなり。
(あ、速度落ちるので、単語帳とかにはしなくていいと思う。大事な単語なら何度も出てくるし、分からなければひくしかないし…)
これは、マジメ・読み返しを防ぐテクニックです。

②自分に自分が勝ちたけりゃ
多くの人間は(いや、すごい人もいるけど…)、10分も集中できません。
仕事で、何時間も集中して…というのは「ウソ」です。
法廷や国連で同時通訳をされる、guruな方たちだって、絶対二人組。
長くても30分で交代します。NHK-BSの世界のニュースの翻訳だってコロコロ交代するでしょ?
でも、そういうレベルの方たちは、こんなテクニックはいらないんです。
我々が集中できるのは10分です。
そこで、1単位を2分にしましょう。

2分でどれだけ読めるかを計ります。
次の2分で、前の自分の記録に勝てるように努力して先を読みます。
さらに…
と5回繰り返してみてください。
かなりの英文読む集中力がつきます。
ま、脳みそのインターバルトレーニングみたいなもんです。

③恐怖の坂道ダッシュ
次はコワいです。
同じところを4回読みます。
一回目 3分で読める限界まで読みます。
二回目 同じところからはじめて2分で同じ分量読みます。
三回目 同じところからはじめて2分で同じ分量読みます。
四回目 同じところからはじめて1分で同じ分量読みます。

シャアになれます。
いや、最初はムリです。でも、ムリを重ねたら、なぜかできるようになります。

つづく(かな?)

2011年7月14日木曜日

風力で走る---AWEA 2011

Green Mountain Energy社は、排気ガスを出さない電気自動車を立ち上げた。テキサスの風力発電の電力を使ってプラグイン式の電気自動車(PEV)とプラグインハイブリッド式の電気自動車(PHEV)の2種類が対象。
 「排気ガスをださない電気自動車」は電気自動車の普及を目的として開発された。
信頼性の高い製品で、購入者には12ヶ月の特別価格を提示する。
 販売対象は、テキサス在住の他の電力会社から電力を購入している人と、既存のGreen Mountain Energy社の顧客で、PEVPHEV1台目の車にしている人。
 Green Mountain Energy社は広域に電気自動車用インフラを設置する個人会社であるeVgo社と提携して、家や道での充電手段を提供する。---- AWEA North American Windpower p171

電気自動車については、思うところが多い。
自分たち中堅のサラリーマンには、Leafやらe-MiVなんか、とても買えないけれど…
文中にある「排気ガスを出さない電気自動車」っていう表現は個人的に嫌い。
ライフサイクルアセスメント(LCA)的にどうなのだろうか?インフラ整備の経緯での排気ガスは?
風車翼のGFRPやCFRPは20年くらいすると分別されていないゴミになるわけだが、その処理はどうするのか?

クリーンディーゼルではいけないのか?
さらに、クリーンディーゼルを進めた発想として、大気中の(人体に)有害なCOなどを燃焼させて、CO2などの(人体に)無害な物質に変換させるタイプの吸気より排気が「きれい」な内燃機関だって考えられるだろう。

一方で、個人所有の資産をスマートグリッドのための、揚水式発電のダム=蓄電池としてつかうことも視野にいれているのだろう。

物事を簡単に考えて、それでよしとする。
「見える化」したような、
単純なビジュアル的なものしか頭に詰まっていないし受け入れない
多くの日本人をみると絶望的な気持ちになってくる。

Gamesa 動向

ガメサはシンガポールに先端的材料を研究するための技術センターを開いた。この新しい研究所は、Nanyang技術大学、シンガポール国立大学、科学技術研究庁(A*STAR)と共同で3つの研究プロジェクトを行う。ガメサは2014年までに30人以上のエンジニアを雇う計画だという。
 Nanyang技術大学との共同研究で、ガメサは翼のコーティングの研究と、会社での製造方法の研究を行う。
 さらにシンガポール国立大学との共同研究で、センサーを内部に入れた材料によって、計測監視する方法を研究する。
 その間に、A*STARの材料研究室と、ガメサはナノ単位で強化したカーボンファイバーを用いた翼の高度試験と更なる強化方法の研究などを行う。
 ガメサは、A*STARにあるシンガポール製造技術研究所との生産における研究開発の強化も図る。
 「これらの合意は、信頼性、効率、利用可能率(アベラビリティ)そして、電力価格といった広い分野を向上させる可能性がある。」とガメサのchief technology officerであるJose Antonio Malumbresは言う。
 関連会社のニュースとして、ガメサテクノロジー社は、ペンシルバニア州Fairless Hillにあるナセル工場にバラクオバマ大統領を招待し、そこで、町の集会場でガメサの従業員たちとエネルギー政策についてディスカッションを行った。
 その工場は、US.Steelの工場跡地に立てられており、約300人の従業員がそこで働いている。オバマ大統領は、エネルギー政策の一環として、ガメサの工場を視察し、そこで、原油輸入量低減の必要性と、よりクリーンなエネルギーの関係を次のように説いた。
 「風力発電のような資源を通して、クリーンな資源からの発電量を2倍にしたい。2倍だ。つまり、2035年までには電力全体の80%が原子力や、効率のいい天然ガスや、石炭とともに、風力や太陽光のようなエネルギーによってまかなわれるということだ。We can do it !
---AWEA North American Wind Power May 2011 p168-171

2011年7月13日水曜日

AWEA報告 風車業界の成長

 2010年にアメリカの風車事業は15% の成長を遂げた。そしてアメリカでの新規電力分の26%が風力発電だった。
 とAWEAU.S. Wind Industry Annual Market Report 2010年版(http://www.awea.org/learnabout/publications/factsheets/upload/Market-Update-Factsheet-Final_April-2011.pdf )にはある。
 昨年中に5116MWの導入がなされているので、累積で、40181MWとなり、1000万世帯のアメリカの家庭での電力使用量をまかなうことができる。
「アメリカの風車事業は、政府からの助成金を永遠にとることができる、他のエネルギーとの競争をしてきました。風力発電は、継続的に2007年から35%の成長を遂げてきました。これは、石炭と原子力を併せた値の倍です。」とAWEACEOであるDenise Bodeは言う。
AWEAのレポートからの統計によると、風力は低コストと他の資源との競争性により依然アメリカ国内のエネルギーの中で重要な役割を果たすことになる。また、天然ガスによる発電につぎ、2位の新規導入量を誇っている。
さらに、風力発電の入手性が良いことから、2010年から、また、Section1603の減税対象となっている。
新たな建設開始に加えて、2010年には新規メーカーの参入が目立った。
2009年から業界に14社も参入してきた。
 アメリカの風力発電市場は今年5600MWの建設中風車を抱えている。この量は2010年初頭の倍の発電量である。201012月のSection1603減税の継続決定は開発業者たちに、アメリカの風車市場の成長継続を印象付けた。
 しかしながら米国ではいくつかの従来のエネルギー源が残っており更なるエネルギーポートフォリオの多角化が必要だとAWEAはいう。

PSOで風力発電の電力が買える。

オクラホマ州公共事業サービス会社(PSO)は顧客が風力発電の電力を選択できる仕組みを作った。
 顧客は、PSOWind Choice program100%オクラホマ州の風力発電の電力を100kWh/月を1単位として、1単位あたり1.72USドルで購入できることになる。
PSOMincoOklaから風力発電の電力を購入する複数年契約を結んだ。
------AWEA North American Wind Power May 2011 p168 (3分)

1.72ドル/100kWh135.88/100kWh(1US$=79円で計算)。